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『裂けた旅券』

Posted by AK on 20.2007 漫画   0 comments   0 trackback
チョイ悪オヤジとエロカワ少女
人種も年齢も越えて、巴里は今夜も燃ゆる


 少し前まで、活動を停止した作家の足跡を辿るのは大変だった。それがマイナーな作家であれば尚更だ。作品は作家にとって生存報告のようなもので、作品を上梓することが即ちタイムカードを打刻するに等しい。インターネットの普及に伴って、かのような事態も多少は打開され得ると期待したが、実際はなかなか難しいようである。

 404 NOT FOUND。接続先が消滅または存在しないことを意味するエラーコードのひとつ。これが表示されてしまえば、金田一耕助だろうが帝国データバンクの調査員だろうがお手上げだ。私は幾人かの漫画家の個人HPやブログをブックマークしているが、最近その内のいくつかがデッドリンクと化していた。だが、それらをブックマークから外すことは敢えてやらない。経路障害で一時的に見えなくなっているだけかもしれないし、何より「そこにWEBサイトがあった」という根拠を根こそぎ消してしまうような感じがして、腰が引ける。また、後々に別のクエリで検索してみたらあっさりと移転先が見つかった、なんてこともあり得なくはない。

 御厨さと美という漫画家は、フルネームでググれば1万4000件ほどヒットする。だがその代表作となると、途端に1000件台にまで落ち込んでしまうから不思議だ。一応「ビッグコミック」で連載されていたメジャータイトルであり、漫画文庫にもなっており、「Yahooオークションで高値をふっかけられながら落札するも、送られてきたのは表紙の写真だけ」などという極悪事例には当てはまらない。ただし、20年ほど前の漫画作品なのだが

 その御厨さと美の個人HPだが、昨年まではどうにかアクセスでき、日記もマメに更新されていた。だが今年に入って久々にアクセスしてみるとサーバステータスは404。単に契約更新を忘れたのか自ら閉鎖したのか。ネット時代全盛といっても、「消えた漫画家」が本当に消えてしまえば取材も追跡も困難になる状況は何ひとつ変わっていないようである

 御厨さと美『裂けた旅券(パスポート)』。私は中学生ぐらいのときに、父親の蔵書だったこの漫画作品を楽しんでいた。単行本の内1冊はページの脱落を起こしており、かなりのビンテージ物であることが見て取れる。親子2代で読み継がれた漫画なのだから当然だ。単行本は全7巻あり、我が家には7冊すべて揃っている。版を見ると、父親は1982年から買い揃え始めたようだ。25年も前である。しかし、月並みな表現を敢えて使うと「古さを感じさせない画風」で、21世紀の現在に本棚から引っ張り出して読んでも、充分観賞に耐え得る漫画だ。

 羅生豪介(らもう・ごうすけ)という在仏日本人の中年男が主人公。物語の最初のうちは、自前のパスポートで日本人観光客のアテンドをしたり、圧政に苦しむ東ヨーロッパの著名人が記した自由主義宣言書を西側へ運び出したりと、何やら「不良外人」の様を呈するも、単行本2巻の終わりを境に状況が変わってくる。13歳の少女娼婦、マレッタの登場である

 フランス首都パリといえば、ブローニュの森という有名な観光地がある。ここは保護林であると同時に伝統的な売春のメッカであり、日没後はロングコートの下に過激なインナーをチラつかせた「夜の貴婦人」たちが列をなして客待ちをするという、別の意味でも観光客に人気のスポットだ。孤児であるマレッタ・クルージュは、ここの売春宿のひとつに引き取られて客を取っていたのだが、ある事件がきっかけで豪介を身許保証人とし、彼のアパートへ居つくことになる。このあたりから物語は方向転換を見せ始め、子供を養育しなければならなくなった豪介も堅気の職へ就こうとし、それまでの生活を改める。「親子ほどの歳の差の微妙な恋愛、ときどき国際陰謀」という、この漫画の基本スタンスが確立する瞬間だ。

 物語の中盤で、豪介はフランス通信社の契約記者となり、安定収入を得るようになる。いっぽうマレッタは、かつての荒れた生活とはうって変わって、豪介の援助で名門女子校へ入学し学生生活を謳歌する。だが、かつて豪介が関わった裏の世界の人間たちは、そんな2人の事情などお構いなしに厄介な「仕事」を持ちかけ……。アイルランド共和軍の闘士から中東産油国の王族、KGBの幹部まで、およそスパイ映画に出てきそうなイカつい面子は何でもござれだ。だが、80年代欧州の政治経済情勢を丹念に織り込んだシリアスな作風が、それらを決して絵空事ではなく、血の通った人間の物語へと仕立て上げている。

 マレッタのルーツに関して、物語中で明解な描写はない。彼女がいかにして孤児になり、どういう経緯でブローニュの森へ引き取られたのか。大元を辿ればイタリアンマフィアの血統へ行き着く「かもしれない」ことが終盤のエピソードにおいて仄めかされているが、それもこれも憶測の域を出ない。こういった、読者を煙に巻くような演出も、コアな漫画読みの間では概ね好評だったようで、続編が待たれる要素のひとつでもある。もっとも、作者自身が往年のファンを煙に巻いて姿を消している現状では如何ともし難いのであるが(Wikipediaによると、御厨さと美は現在、東海大学の講師として漫画家稼業からは身を引いているそうである)。

 日系チンピラが主人公の仏版『レオン』というべきか、『龍が如く』をバタ臭くした感じというべきか。とにかく80年代当時、そして今もなお他に類をみないワン・アンド・オンリーの作風を武器に2年近くの連載を全うして伝説化した珠玉の漫画作品である。

 この作品は漫画文庫として再版されていると先述した。私は小学館BIG COMICS全7巻を所有しているので文庫版のほうは知らないが、ひとつ懸念がある。『裂けた旅券』というこの漫画、その辺の青年漫画よりもネームの量が多く、文庫化に際して非常に「読みづらい」漫画になってはいないか、ということだ。文庫版『ゴルゴ13』の読みづらさを思い起こしてほしい。最近100巻を超えたそうだが、コンビニで立ち読むたびに細かいネームをすっ飛ばしてしまう私がいる

 そもそもこの分野に関して私は、絵で見せるべき漫画作品を活字の携帯スタイルである文庫サイズへ縮小して良いものか、という疑問を常々抱いているのであるが、それはまあいいだろう。とにかく、文庫版が初見の読者諸氏がこの漫画に対して「小難しく読みづらい変り種漫画」という感想を抱かないことを祈るばかりだ。



  『裂けた旅券』
  1981‐1983年 小学館
  御厨さと美 著


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