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『ダブル・トラブル』

Posted by AK on 23.2007 漫画   0 comments   0 trackback
スーパーで拳銃が売っている民主国家
殺されずに裁判を受けられる犯罪者は何人いるだろう?


 米国には「アンバーアラート」というシステムがある。児童誘拐事件の発生に際して全州へ警報を出し、あらゆる方面から情報を募るというものだ。

 誘拐の被害に遭った児童の7割が事件後3時間以内に殺害されるという同国にあって、事件は時間との戦いでもある。加害者は何も重度のペドファイルとは限らない。義理の両親や実の両親による親権紛争、見知らぬ他人による営利目的の誘拐も多い。また、ペドフィリアの持ち主でなくとも児童に性的暴行を加えて死亡させるケースが頻発している。このことからFBIの捜査システムでは、無害なペドファイルと実際的なチャイルドマレスター(児童性虐待者)とを分けて運用しているのだという。

 Wikipedia日本語版には以下の記述がみられる。

 “小児性愛者だからといって必ずしも子供にみだらなことをするわけでもなく、また小児性愛者でなくとも子供にみだらなことはする。”

 TVやラジオはすべてのプログラムを中断して特別報道番組を組み、ハイウェイの電光掲示板には速報が流れ、地元警察へのホットラインがフル稼働する。重大な犯罪捜査はこっそりひっそり、という我々日本人の常識では計り知れないシステムだ。現実的な捜査手法といえば聞こえはいいが、とどのつまり、米国社会はこの手の事件に関して相当切羽詰まっているのだと言えよう。『千と千尋の神隠し』の英題はSpirited Awayだが、直訳で公開しなかった理由が言語的なこと以外にあるのではないかと邪推してしまう。

 多田由美という漫画家は、デビュー以来一貫してアメリカの風俗を描き続け、しかもそれが比較文化的に破綻していないという稀有な才能の持ち主だ。彼女の描くアメリカ郊外の風景は、小田扉が描く集合団地の軒並のように自然で、屈託がない。それは人物造形にも同じことが言える。台詞回しに戸田奈津子の翻訳文体を取り入れているというが、副詞や形容詞が極限まで削ぎ落とされた「アメリカ人」たちのダイアローグは、現実のそれよりも「アメリカ的」である。ちなみに、外国映画を字幕で見る文化を持った国は、日本以外にそう多くないらしい。

 彼女が1991年に描いた短編『ダブル・トラブル』を、私は何度も読み返している。物語は単純だ。母親の面影を追って刃傷沙汰を繰り返す切り裂き魔アルヴァロが、ふとしたきっかけで小さな女の子をさらってきてしまい、同居人の説得で彼女を家に帰してあげるという筋。ここに登場するジュリーという少女が、失礼ながら、多田由美の描いたキャラクターとは思えないほどに可愛い。「プレイボーイ」誌の表紙モデルと見紛う台風みたいなプロポーションを誇る、多田由美の普段の女性キャラとは一線を画する幼女っぷりなのである。これはすごい。多田女史の身に何が起きたのか。ジェリービーンズを食べ過ぎてペン先が滑ってしまったのではなかろうか。

 物語中、少女ジュリーを真横から見た構図が描かれている。顎をちょっと引いて、腹部をポンと突き出した格好。なんという通好みな描線か。多田女史は、このコマをして私のような変態漫画読みを挑発しているのかもしれない。この「顎を引いてお腹を突き出す」というポージングは、小さな女の子特有のものだ。特にお腹に関しては、幼児期は骨盤が前傾しているため、特に意識せずとも自ずとそうなっている場合が多い。幼児の腹を大人のそれと同じように描く漫画家は、実際の子供をデッサンしたことがないモグリであると私は思っている。

 矢代丸治というライターが、単行本の解説で「筆者はロリコンじゃないですけど」と前置いた上で、「多田さんの描く子供ってみんな可愛いですよねぇ」と書いている。「みんな」と書いてはいるが、多田由美が子供を描くことはほとんどない。さらに「多田さんは子供の絵を描いている時、笑っているんじゃないかな」などと締めており、これも非常に気味の悪い文章だ。全裸にコートを羽織って、小学生の通学路でご開帳していそうな文章。こういう気持ちの悪い文体でライターができるのなら、私は明日にでもライターとして食べて行けそうな気がする。ところで、矢代サンをGoogleで検索してみたらフルネームが5件ヒットした。有名なようで何より。

 さて、短編『ダブル・トラブル』は、物語の筋から想像できるように、何とも悲劇的な結末を迎える。無粋を承知で書くと、「悲劇」の当事者はジュリーではない。同居人の勧めで彼女を家に帰すことにしたアルヴァロが車を走らせ、彼女のホームタウンへ到着するも、現地にはすでに警官隊が待機しており……

 リアルすぎて鼻血が出そうな漫画だ。『龍が如く』が身寄りのない女の子を方々へ連れ回した挙げ句にハッピーエンドな分、こちらはあくまでも実録タッチである。たった1人の変態犯罪者にショットガンを携えたSWATが投入されるのだから、アメリカは今も昔も「普通の国」じゃないことが分かる。

 ただ、この漫画はそういう社会的なことをテーマにしている作品ではない。切り裂き魔アルヴァロの生い立ちと、彼が人間性を取り戻す過程が、幼女誘拐という形を取って現出しているに過ぎない。もっとも、そうして取り戻した「人間性」が、広く世間へ受け入れられる形へ昇華する前に打ち砕かれる、という後味の悪さは如何ともし難いのだが。



  出典 多田由美短編集「ベイビー・ブルー・アイズ」
  2001年 河出書房新社
  多田由美 著


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