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『BPS バトルプログラマーシラセ』

Posted by AK on 21.2007 アニメ   0 comments   0 trackback
携帯電話でスパコンに挑むアキバ系ゴルゴ13
続編製作を願って今年も「まうまう!」


 Windowsを使い続けて5年になる。それ以前はMacを弄っていた。ミーハーな父親が「これからはコンピュータの時代だ」と言って電器量販店で衝動買いしてきたiMac。8系OSを搭載し、CPUにPowerPC 750を擁した、通称「G3」と呼ばれる初代iMacである。

 G3には、よく固まるパソコンという印象しかない。それでも、極めて特殊なルートで入手したPhotoshop(P2Pではない。当時はそんなものはない)を使い、某アイドルの全裸コラージュを作っては学校の友達に見せて「幾らで買う?」などとやっていた。ただ、インターネットには繋げず、マシンの挙動に苛ついていたせいもあって、そこから本当の意味での秋葉系へは突き進むことなく堅気の道を行き、現在はWindows XPでヌルい生活を送っている。

 ひとつ書き忘れた。XP機を買う以前、つまりMacと決別した直後だが、私は3年ほどWindows Meを使っていた。ビル・ゲイツの黒歴史、奇形Windows、サポセン泣かせのいらない子等々、数多の異名でWindowsの輝かしい歴史に影を落としたアレだ。現在では当たり前のシステムであるアクティブデスクトップも、購入初期状態のままONにしておくと様々な障害を引き起こし、ひとたび重いアプリケーションを動かせばメモリリークを患ってお亡くなりになるという素敵なOSであった。

 これを飼い慣らせばXPのエラーなどエラーの内に入らず、心臓に陰毛が生えたと言わんばかりの度胸が身につき、パーソナルコンピュータの挙動を心で把握するニュータイプ然とした人間になれると言われていた。私はプログラムに関する専門知識など皆無に等しいが、とりあえずWindowsのエラーに際して闇雲に電源ボタンを連打するということはない。これもMeライフで得た危機管理能力の賜物であろう。

 家庭用コンピュータに関して、ハードウェア的な側面ではかつてのSF映画等の遥か先を行っている、と言っていい。映画『エイリアン2』で無人マシンガンを遠隔操作するノートパソコンみたいな端末が登場していたが、あれは今考えると相当先進的なデザインであり、当時の映画に登場する未来コンピュータの多くはMSXみたいな「レトロ」な形をしていた。

 だがソフトウェアはどうだ。ウィリアム・ギブスンが夢見た電脳空間マトリックスはセカンドライフなどというケチなお人形遊びにその座を奪われ、攻殻機動隊のようにプログラムが自意識を持つこともなく、せいぜいEXE拡張子の卑猥なトラップで他人のデスクトップ画面を晒し上げるぐらいの「極悪ウイルス」しか登場していない。映画でよく見る、流れるようなGUIのOSはいつになったら登場するのか? 某国の核ボタンを乗っ取りG8首脳陣を脅迫するサイバーテロリストはどこにいるのか? 我々がかつて見た21世紀の夢は、その時がとうに過ぎた2007年現在、欠片ほどの兆しも見えてこないのである。

 ……などという文系ならではの嘆きがどうでもよくなる作品を私は知っている。ジャンルはアニメ。もういちど言う。ジャンルはアニメ。さすが我が日本、フジヤマ・ハラキリ・スシ・ゲイシャに次ぐ新時代の東洋ミステリーことアニメーションは、なんでも網羅している。

 『バトルプログラマーシラセ』、略してBPSは今から4年前に放映されたU局深夜アニメで、その卓越した着想と高品質なプロットにも関わらず全5話で打ち切られた、いろんな意味で伝説の作品だ。おまけに当時、大人の事情で30分の本編が10分ずつ3分割され、それぞれブツ切りに放映されるという異例の憂き目に遭った不遇の作品でもある。

 分かりやすく書くと、1話30分・全5話のところを、1話10分・全15話へ伸張され、それすらも打ち切りの産物という踏んだり蹴ったりの処遇でオンエアされた、三重苦に喘ぐヘレン・ケラーみたいなアニメなのである。もっとも、私は最近になってGyaOの無料コンテンツで視聴したクチなので、当時のBPSオタクたち(そんな人間がいればの話だ)が経験した阿鼻叫喚を知らない。

 物語はこうだ。千葉県のあるところに、白瀬慧(しらせ・あきら)という冴えない青年がいる。ボロアパートに住み、金なし風呂なし女なしと三拍子そろった、髪もヒゲも伸ばしっぱなしの不精な独身男である。近所に暮らす親戚の女の子が手を焼いたりしてくれるが、基本的にはダラダラと締まりのない半ヒキ青年。ルックスもブサメンだ。

 だが彼は、ネットの世界でハンドルネーム「BPS」を名乗り、あらゆる超人的な記録を打ち立ててきた天才ハッカーでもあった。在籍する大学院から紹介を受け、その筋の難題を持ちかけられること幾度、しかし彼は常に華麗なテクニックでそれらを解決していく。

 ある日、闇企業キャラテック社を統括する日本人ハッカー、ハンドルネーム「アメリカ王」が起こす爆破テロに遭遇した白瀬は、持ち前のテクニックで大惨事を未然に防ぐ。BPS対アメリカ王の熾烈な戦い、というよりアメリカ王の一方的な連敗劇は、ここに火蓋を切って落とされたのであった……。

 と、ここまでなら普通のサイバー物アニメである。マッドハウス製作というクレジットが付いていても何ら違和感を感じない、極めてオーソドックスなストーリー構成。当然、この作品が一部でカルト的人気を誇る理由はほかにある。白瀬の親戚にあたる小学生ヒロイン、美紗緒(11歳)の存在だ。

 結論から言うと、白瀬はロリコンである。それも、アニメキャラにもリアル少女にも分け隔てなく発情可能というハイブリッドな嗜好の持ち主で、当然ながら、毎度彼のアパートを訪ねて食事の世話などをしてくれる良妻賢母の美紗緒ちゃんには悶々とした感情を抱く、というわけだ。

 また、物語の中盤から登場する美紗緒のクラスメート、ヨンちゃんこと柚木頼子(10歳)がまたすごい。彼女、実は米海軍情報部門にスカウトされた天才ハッカー少女なのだ。アメリカ王による連続テロの最中、美紗緒をダシに白瀬へ接近したヨンちゃんは、かつて彼が防衛庁で組んだプログラムを高評価した上で「私、解析していてちょっぴり濡れちゃった」などと言い出す。

 繰り返すようだが、彼女は(いちおう)10歳の小学5年生だ。ちょっぴり濡れちゃう小学5年生だ。これはもう確率変動を引き当てたようなものではないか。ヨンちゃん、いやヨン様のご乱心で股間を熱くしたロリコンが全国にどれだけいただろう。情報化社会の荒波に呑まれた最近の小学生はコウノトリ説を信じないから困る。

 ギャグをエロに置き換えたテンポの良い演出という点を鑑みて、このアニメは『こどものじかん』の作風を先取りした先駆的作品であると言えよう。もちろん、それ以前にもそういう作品はあっただろう。が、エロの当事者がガチンコロリ少女、且つストレートな表現という部分は、当時、そして今もなお新鮮な方法論であることは間違いない。いよいよをもって「萌え」などという良心のフィルターが剥ぎ取られ、その下にあるペドフィリアの禍々しいフォースが漫画、アニメ両界へ漏れ出したかのように思える。ちなみに、このフィルターを最後まで死守してエンターテイメントの一線を守った作品に『千と千尋の神隠し』が挙げられるだろう。

 BPSにはエロ以外にも際どい表現が頻出される。明らかに北朝鮮のものと思われる武装工作船が、日本の非公然核燃料を強奪するために万歳三唱しながらEEZ(排他的経済水域)に侵入する、というタイムリーなネタがそれだ。淫乱少女と東アジア情勢、合わせ技で打ち切り決定……ということはないだろうが(全5話分の放映スケジュールは当初のカレンダー通りであったとも伝えられる)、このテンションを保ったままでぜひとも続編を製作してほしいところだ。

 続編、というかこのアニメは明らかにおかしい。白瀬の過去や黒幕の存在等、解決していない謎が多すぎるし、オープニングにレギュラー出演しておきながら本編では最終話のみ登場、声すら出さずにチョイ役で終わった第3のロリ少女にも活躍の余地はまだまだあったはずだ。

 ただ、不幸中の幸いというべきか、1万3000円のDVD-BOXセットを購入すれば全話コンプリートできるというお手軽さは素晴らしい。BOXセットと言ってもディスクは2枚しか封入されておらず、特典のサウンドトラックCDを入れても3枚だ。洋画のコレクターズDVDでも買ったと思えば、決して高い買い物ではない。Amazon.co.jpの「嫁(シリコン製)を質に入れてでも買うべき」という秀逸なレビューを読むまでもなく、この作品は「買い」だ。

 この手のアニメ作品は、メディアの売り上げが製作バジェットに直結する仕組みである。望むと望まないとに拘らず、日本経済はそういうシステムになっている。続編を拝みたければDVDを買うのだ。私は、買った。



  『BPS バトルプログラマーシラセ』
  2003年 林宏樹・AIC
  BPS製作委員会


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